京都学生祭典

風船わんこ

京都の学生がこぞって騒ぐ第一回京都学生祭典に行ってきた。
なかなかおもしろかった。
でも、その中であまりにも腹が立つことがあったので、ここに書く。

留学生が出している屋台のコーナーで、中国人の餃子屋さんに並んでいたときのこと。
「コンニチハ」と後から声を掛けられて、振り向くと仏大で一緒に授業を受けているチベット人のSさんが笑っていた。
話しているうちに私と友達の順番がまわってきて、先にその屋台を離れた。しかし、Sさんはなかなか列から出てこない。
屋台の中国人の男性と何やら話している様子だった。
時折「チベット」「チャイナ」という単語が聞こえてきて、ただならぬ雰囲気が伝わってきた。

屋台を離れ、イギリス人の友人としゃがんで話し始めたSさんにどうしたのか尋ねた。

どこからの留学生かと聞かれて、Sさんがチベット人だというと、中国人の男性は、「チベットは中国領だろう。チベット人なんて今はいないはずだ。中国人だと言え。チベット人なんかには餃子は売らない。」と言ったというのだ。
「中国は強いから。」「日本にもそういう中国人がいることがわかった。」と彼はやるせない表情で言った。
私は驚愕した。悔しさが身体を突き抜けた。

後からこう思った。
ここは日本なのに。
日本人である私が間に入ってきちんと言えばよかった。
「国土を踏みにじられ虐殺され、国そのものを奪われたチベットの人々のことを考えたことがあるのか」、と。
何もできなかった自分が悔しい。
自分の国で、近くに自分が居ながら、友人に不快な思いを味あわせたこと。それがただただ悔しい。
次からはこのような場面に出会ったときは何かしら行動を起こしたい。

昨日見てきた『世界報道写真展』の世界は決して遠いところだけで起こっていることではない。今すぐ近くで起きていることなのだ。


*写真
会場の近くで発見した風船を首輪にくくりつけられた犬。
かわいかった。風船が頭から生えているみたいで。